タイトル

ニュースで何気なく耳にする『劣化ウラン弾』
一体それがなんなのか……
不思議に思って調べてみました。
――桃猫さん、ご協力サンクスです。

'eL-tneO 表紙図書館戦争と平和 ⇒ 劣化ウラン弾って何?


『劣化ウラン弾って何?』

劣化ウラン弾っていったい何なの?
 さて、最近、すっかり有名になった劣化ウラン弾ですが、名前ばかりが有名で、いったいどんな兵器であるか、意外と知られていないようですね。という訳で、いろいろと調べてみました。

 重い弾ほど威力が上がる

 エアガンに、普通のBB弾を装填して撃ってみます。まぁ、アルミ缶くらいだったら普通に貫通しますね。人にあたった場合には、赤くはれ上がるくらいでしょうか?みなさん、マスクをつけていない人をエアガンで撃ってはいけませんよ?

 しかし、同じエアガンに径の同じボールベアリングを入れて撃ってみましょう(っていうか、絶対やるなよ! 違法行為(銃刀法違反)ですからね!!)。なんと薄めのベニヤ板なら難なく貫通してしまいます! ちなみにこの弾だと薄いマスクなら余裕で貫通します。確実に傷害事件になるので、そんなものを人に向けないように!

 さて、何が言いたかったかというと、要するに「弾が重いほど威力が上がる」ということです。

 第二次大戦、世界中でさまざまな徹甲弾頭が開発されました。その中にタングステン弾芯をつかった弾というものがありました。APCR(剛性核徹甲弾)やAPDS(装弾筒付き徹甲弾)というものです。
 タングステンはとても重い(威力がある)うえ、硬い(貫通力がある)金属です。これを弾丸の芯の部分に使います。そしてまわりを軽い素材でくるむわけです。そうすると、弾自体は他の弾より軽いのに、芯の部分だけは重くて硬い弾が出来たわけです。発射するときには軽いので初速が速く、命中したときには命中した部分が重くて硬いので威力が大きい、そんな夢のような武器だったのです。

 さて、武器を作る人達は、そんなわけで「重くて硬い」材料を探していました。あと、オマケに材質が安ければいい(笑)。どうすれば、もっと効率的に破壊力のある武器を作れるかな?と真剣に考えていたんですね。向学心があって素敵ですね☆。

 そんな素敵な死の商人達が目をつけたのが原子力発電や原子爆弾を作るときにゴミとして出てくる「劣化ウラン」だったのでした。

 リサイクルってすばらしい!

 自然界から発掘されたばかりの状態のウランは235U238Uが混ざったものです。まぁ、簡単に言うと「核爆発を起こさないウラン」「核爆発を起こすウラン」が混ざり合った状態なのですね(ちなみにどちらも放射線を出します。怖いですね〜)。このままではとても発電にも爆弾にも使えないので、これを分けて出来るだけ「核爆発を起こすウラン」の純度が高いウランを作らなければなりません。
 この作業のことを「ウランの濃縮」といい、出来たウランを「濃縮ウラン」と呼びます。

 さて、こうやって純度の高い「核爆発を起こすウラン」が手に入るのですが、そうするとあとには沢山のゴミ、もとい「核爆発を起こさないウラン」が残るわけです。発電所の人や原爆を作る人にとってはこれはただのゴミ。要らないものですね。ですから、ポイしちゃいたい……のですが、さっきも言いましたように、この「核爆発を起こさないウラン」も放射線をバリバリと出しているのです。これではなかなか勝手にゴミ捨て場に捨ててくるわけにはいきませんね。みんな困ってしまったのです。なんとかリサイクルできないかな?って……

 夢の新兵器誕生!

 そんなところに目をつけたのが、先刻の向学心に燃える素敵な死の商人達でした。ウランというのはとても重い元素なのです。この劣化ウランにいろいろな物を混ぜて焼き固めると、金属のようなものになるのです。とても重く、しかも硬い、夢の弾芯の誕生です! しかも、この弾芯は1100度以上の高温になると火を吹くという性質ももっていたのです。
 なんでも貫通して、しかも燃やすことが出来る!しかも材料はリサイクルだから値段の高いタングステンなどよりもずっとお手軽に発射できます! もう、国防省も防衛庁も諸手を上げてバンザイ状態ですね! 安くて強い武器! これほどすばらしいものが他にあるでしょうか!?

 こうして劣化ウラン弾は実戦に投入されたのでした。安くて強力な劣化ウラン弾は大活躍をしたのでした!

 でも、ウランってさ……

 さて、ところで、私達は何かを忘れてしまっているのではないでしょうか?

 それは、劣化ウラン弾もウランである以上放射線を出している、ということです。

 劣化ウラン弾の弾頭があるところであれば、どこであっても大量の放射能がばら撒かれているのです。敵に命中した場合だけでなく、弾を輸送している車の中で、弾の製造工場の中で、そしてなによりも、発射された後、戦場跡で……大量の放射能がどんどんと撒き散らされているわけです。

 「でも、劣化ウラン弾に触ったり、近づかなけりゃ、平気なんでしょ?」

 うん、普通はそう思いますよね。でも、ここでちょっとさっき言った「劣化ウラン弾は火を吹く」ということを思い出してほしいんです。ちょっと難しい話になりますが劣化ウラン弾が燃えると、微粒子状の八酸化三ウラン(U3O8)という物体になるんです。微粒子ということは、要するにとても小さい粉状、ということですね。ちょうど、木が燃えると灰になるような感じです。
 灰はちょっと風が吹けば飛び散ります。それと同じように、この八酸化三ウランは、爆発の衝撃で飛び散り、その後、風に乗ってあちこちに散らばるわけです。粉、といっても立派な放射能をガンガン飛ばしています。つまり……一発命中すると周囲一帯に放射能をばら撒いてしまうことになるのですね。

 弾一発が周囲に撒き散らす放射能の量は5マイクロシーベルトほどとのことです。普通の世界で観測されるのは0.07マイクロシーベルトほど。71倍ほどの量が出ています。これがどういうことかといえば、劣化ウラン弾の弾一発分ウランが近くにあるだけで普通の人はたった一年でなんと一生分もの放射線を浴びてしまうのです! 一年で一生分ですよ! とても信じられない量だと思いませんか?
 しかも、これは一発のもたらす放射線です。たとえば、セルビア空爆では3万1000発もの劣化ウラン弾が撃ち込まれました。また、ボスニア・ヘルツェゴビナでも1万8000発が使われています……。いったいどれだけの量の放射能が撒き散らされたのか……考えるだに恐ろしいことです。

 ちなみに……劣化ウラン弾は命中したときだけ放射線を出すわけではありません。工場で作っているとき、輸送しているとき、戦車に乗せられているときにも、ずっと放射線を出しつづけています。ですから、前回の湾岸戦争ではイラク人兵士やイラク人の子供だけではなく輸送や使用にかかわったアメリカ人兵士の身体にも大きな被害を残しているとの事です。

 とまぁ、私が調べた限り劣化ウラン弾というものはこういう性質を持っているもののようです。みなさん、どう思いますか?
劣化ウラン弾・補足
 さて、前回、劣化ウラン弾について書きましたが、いや〜、フォントサイズを変えたりするの、えらく疲れましたよ〜。HTMLソフトがあれば、それで設定できるのでしょうけど、そういうソフトを持っていない貧乏さんですので(笑)全部手打ちです。正確にはタグ指定をコピペで貼り付ける。いや〜面倒くさかったです。もう、やらないかも(笑)。
 ところで、前回のものは素人が一生懸命いろいろとぐぐって調べた情報ですので、あまり細かいことは書けませんでしたが、その辺をいろいろとサポートしてくれるメールを桃猫さんがくださいました。許可をいただいて転載させていただきます。桃猫さん、ありがとうございますね〜。

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本文を読んでいて、いくつか気付いた事があるので、補足を少し。

・「核爆発を起こさないウラン」と「核爆発を起こすウラン」 言い換えると「臨界を起こすウランと起こさないウラン」になります。ここで 言う「臨界」とは、「何もしないのに、核分裂が爆発的に現象」のことです。 もっと分かりやすく言うと、ドミノ倒しがねずみ算式に起こるようなものです。
(1,2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024…)
鉱石から取り出されたばかりのウランは、そのほとんどがU238で、有用なU235 はわずか0.3%程度しか含まれていません。 原子炉の燃料に使用する場合、これを1〜数%まで濃縮する訳です。 残りのU238ですが、実はこれプルトニウムの原料にもなるんです。(知って た?)
日記でも述べられた通り、U238自体には活性がありません。ですが、原子炉中で 長時間放射線にさらされると、U235より毒性の強いプルトニウムが誕生 するのです。
この原理を応用したのが例の「菩薩」様、というわけです。

・「近付かなければ平気」
ウランの場合、一番問題になるのは「体内に取り込む」ということです。 ウランをはじめとする、放射性物質(核種ともいいます)は、主に発する 放射線の種類により3種類に大別できます。
ウランの場合だと、発する放射線はほとんどアルファー線なので、アルファー 核種と呼ばれます。アルファー線は大気中ではほとんど飛ばず、表面から約三 センチ位で止まります。
しかし、体内に取り込んでしまった場合、人体に対するダメージが最も大 きいのは実はアルファ線なのです。 ここで、放射線の大きさを比較してみると、アルファー線の大きさを サッカーボール位とすると、ベータ線はビー玉位、ガンマ線になると砂粒以下 になります。
別な言い方をすると、同じ量のウランと、(ガンマ核種の代表である)コバル ト60を飲んだ場合、ウランを飲んだ方がガンになりやすい、というわけです。

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桃猫さん、いつもいろいろと教えていただき、ありがとうございますね〜。
劣化ウラン弾と白血病(桃猫さんthnx)

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「劣化ウラン弾と白血病の関係」
・白血病は何故起こる?
過去の湾岸戦争では、劣化ウラン弾から生じた放射能が体内に取り込まれ、白血病をはじめとする、さまざまな放射線障害を起こしていると聞いています。特に、子供の白血病を含む障害が多く、医療設備の不足が深刻な問題になっています。

一般に「放射能」というと「白血病」を連想しますが、これは放射線(放射能)による被曝(被爆でもいいのですが、ここでは被曝とします。)で最も早くあらわれる症状が白血病だからです。

・では、なぜ白血病が最も早くあらわれる病気なのか? 
人体には皮膚や内臓などの、さまざまな臓器や組織でできています。これらの細胞は、役目や機能、形状などが組織ごとに異なっています。そして、当然ながら放射線に対する抵抗力も違っています。なかでも、造血機能(骨髄)は放射能に対する抵抗力が最も弱く、この造血機能がそこなわれ、正常な血液がつくれなくなる症状が白血病、というわけです。

造血機能(骨髄)が最も放射線に弱い理由… それは、「体内で最も細胞分裂が多く起きている部分」だからです。
詳細は省きますが、放射線に対する細胞の抵抗力は、細胞分裂の多さに対し反比例し、脳組織のような全く分裂しない細胞ではその抵抗力は最大となります。(ただし、全く平気というわけではありません。念のため) わかりやすい例えで言うと、皮膚がただれていたり、髪の毛が抜けてしまった人は、既に白血病になっている可能性がある訳です。(恐ろしや〜(汗))

・では、なぜ細胞分裂が多いと放射線に弱いの?
と、ここまではよくある説明なのですが、それでは細胞分裂が多いとなぜ放射能に弱いのか… それは遺伝子(DNA)の性質によるものだからです。

最近では、ドリー等のクローン関連で遺伝子についてはいろいろと説明されていますが、ここでは便宜上ファスナー(ジッパー)を使います。遺伝子はこの「ファスナー」の長いものがらせん状にねじれた状態で、細胞の核に入れられています。

このファスナー、閉じた状態だと意外と放射線に強いんです。ファスナーの片側を壊されても、反対側が無事ならジグゾーパズルのように、自分で部品をはめこんで直してしまうし、さらに、えーと…(テキストを読みながら)ファスナーを両側同時に破壊する、つまり完全に切断する為には、片側を壊す場合の10倍ものエネルギーが必要なんです。

ですが、そのファスナーも非常に弱くなるときがあります。それは、ファスナーが開いた状態… つまりそれが「細胞分裂」の状態と言う訳です。

細胞分裂の時期に入ると、ファスナーは自分から開き、片側だけの状態になります。そして開いた面(ファスナーの歯に当たる部分)に、部品をはめ込んで殖えていきます。
この「片側だけの状態」に放射線の攻撃を受けると、ファスナーは簡単に切断され、その先は修復する事ができなくなります。また、切れた部分をつなぐ事ができても、修復の見本になる片側が無いため、正しく直せる場合は少なく、そのファスナーは正常に働く事ができなくなります。

・最後に…
以上の理由から、皮膚や内臓より造血機能(骨髄)が、大人や老人より子供の方が、放射能に弱い事がご理解いただけたでしょうか?(子供の場合、成長期なので、全身の組織の細胞分裂が活発なため)

余談ですが、現在白血病の治療も最も効果的と言われる「骨髄移植」について少しお話しします。実は、この治療にも放射線が使われるんです。移植は、提供者(ドナー)の骨髄との拒絶反応を防ぐ為に、元の骨髄を完全に殺す必要があるのですが、ここで使われるのが、放射線というわけです。

ただし、骨髄はほとんどの骨に存在するので、全身を照射しなくてはなりません。この場合、骨髄の次に放射線に弱い生殖器にも影響するので、結婚はともかく、子供が作れなくなる可能性があります。そして最も恐ろしいのは… 白血病以外のガンや障害になる可能性が、健康な人より大きくなる、ということです。

一言でいうならは、「骨髄移植って、ほんとは恐ろしんだよ」ということですね。

今回の話はこれでおしまい、ここまで読んで下さった方、感謝!感謝!


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というわけで、前回よりかなり長くなりましたが、暇つぶしに役立ったでしょうか?(笑)
あと、ご意見、ご感想、解らない点などがあれば、こちらまでご連絡ください。
(「こんな説明じゃわかんないよ!」てのも(笑))
では、今日はこの辺で…

 桃猫

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ども〜。桃猫さん、いつもありがとうございます〜。専門知識をわかりやすく説明してくださって、本当に有難いですよ〜。(Chesedh)
「ウランによる被曝の詳細」「原子炉の宿命」(桃猫さんのメール転載です)

以下に、桃猫さんが寄せてくださった、原子力関係の文章を転載します。ためになると思いますので、ぜひ、ご一読を。

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・ウランによる被曝の詳細

 さて、bbsでも質問されていた「ウランによる被曝」ですが、その前に前回話した内容の訂正とお詫びをしたいと思います。こちらも、いろいろ調べたら、新たにわかったこともあるので。

・「原子炉の燃料に使用する場合、これを1〜数%まで濃縮する」
 後で、関連ページを調べたら、現在では3〜10%に濃縮したものを使うのが一般的のようです。

・「ウランを飲んだ方がガンになりやすい」
 これは、相対的にウランの方がなりやすい、ということです。コバルト60も、代表的な放射性物質なので、ガンにならない保証はありません。あしからず。

・「では、なぜ白血病が最も早くあらわれる病気なのか?」
 これもよく調べたら、「ガン」が最も早くあらわれるのは、甲状腺だそうです。
 ただし、白血病以外のガンは、治療法が発達しており、最悪でも病巣を切除することが可能です。白血病の恐ろしい所は、(前回でも説明したとおり)治療が困難な事、そして他のガンに比べ、圧倒的に死亡率が高いということです。

さて、本題の「ウランによる被曝」に入りたいと思います。
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「ウランによる被曝とその症状」
 前回でも説明したように、湾岸戦争で劣化ウランが兵器として実戦に使われ、その結果、白血病に代表される様々な放射線障害を引き起こしている可能性について説明しました。
 今回は、その補足という形で聞いて頂ければ幸いです。

・元々は、
 ウランと言うのは、自然の状態では放射線も強い物では無く、皮膚が直接接触しなければ、害のない物です。
 これは、ウランが放出する放射線のほとんどがアルファ線の為で、アルファ線は空気中でも、約3センチ程度しか飛びません。

 つまり、ウラニウムが山のように積まれていたとしても、直接触らなければ問題は無いのです。

・被曝の条件、その1
 ただし、ウランを体内に取り込んだ場合、情況は一変します。

 天然のウラン鉱石でも、長時間皮膚に触れていると、空気による妨害(正しくは、しゃへいと言います)が無くなるので、ウラン鉱石が触れていた部分の皮膚が、やけどのようにただれる事があります。

 ウランを体内に取り込んだ場合、この現象が細胞レベルで起こる事になります。

・被曝の条件、その2
 通常、ウランは放射性物質では比較的飛散しにくい物質で、ある程度生成されていても、ズギ花粉のように飛ぶ、ということはあまりありません。

 一般には、ウラン等の放射性物質を体内に取り込む可能性があるのは、原子炉や核施設など、濃縮されたウラン等を取り扱う施設に限られます。 この場合、ウラン等は空気中を微粒子の形で浮遊しており、そのほとんどが吸入により肺に付着し、そこから体内に取り込まれて行きます。(胃腸に取り込まれる事が少ないのは、施設内での飲食・喫煙が禁止されているため。)

 そして、体内に取り込まれた時点で、はじめて「被曝」が起こる訳です。このように、体内に放射性物質が取り込まれて起こる被曝は「内部被曝」といいます。ウランの場合、内部被曝がほとんどです。

・砂漠では…
 推測になりますが、劣化ウラン弾が使われた地帯では、この「核施設」内と似たような状態だと考えられます。
 つまり、砲弾の破裂により砕けた散った劣化ウランの破片が、細かな微粒子となって、空気中に多量に漂ってる恐れがあるわけです。
 しかも砂漠地帯では、雨により河川や地中に流される事もほとんど無く、加えて砂漠地帯特有の砂嵐が起これば、只でさえ細かい破片が、さらに砕かれて空中に舞い上がり、これを吸い込む…と、情況が悪化する訳です。
 そのうえ、それを知らずに、そこで食事をすれば、空気中から飲食物に付着したウランを多量に取り込むことになるのです。 

 そして… 多量に体内に取り込まれたウランは、筋肉や内臓、それに骨など、人体のあらゆる所に沈着して、最終的には白血病に代表される、様々な障害を引き起こしてゆくのです。

 早い話、「戦場跡にいるだけで、白血病になる」と言う事です。

・対策は?
 残念ながら、この地帯を離れて移住するか、地下深くまで穴を掘って生活するしか方法はなさそうです、現在の技術では。(これが、雨の多い地帯ならば、大気中の汚染がかなり抑えられるのですが…)

 もし、皆さんがこのような土地を訪れる場合は、土壌はもちろんの事、空気中も激しく汚染されている事が予想されるので、防じんマスク、そしてできればガイガーカウンターを携帯して下さい。 飲食・喫煙は厳禁、どうしても飲食が必要な場合、密閉されば空間で空気中等の汚染が無い事を確認してからにして下さい。(できれば、このような所には、行ってほしくありませんが。)

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さて、今回のお話は、近日新聞をにぎわせている話題と関連するものです。
アメリカがなぜ、他国の原発建設にうるさいのか、日本も無関係ではないので、ぜひ読んでおいて下さい。

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・「原子炉の宿命」

・原子炉の目的
 みなさんは、原子炉は最初、何のために作られたか知っているでしょうか?「発電のためでしょ?」と答えた方、まだまだ甘いです。

原子炉が最初に作られた目的、それは… 「核兵器」を作るためです。

・原子炉内では何が起こっているか?
 なぜ、核兵器を作るためなのか… その前に、一般的な原子炉内で起きている反応、言い換えると「どんな風に燃料が燃えているか」を説明します。
 
 通常、原子炉に使われる燃料は、ウラン235を含む「ウラン燃料です」このウラン燃料を原子炉に入れて、中性子を照射すれば、ウラン235が核分裂(つまり燃えて)して、2個以上の中性子を放出します。
 さらに、この放出された中性子は、別のウラン235にぶつかって… と、ドミノ倒しのように核分裂が続いていきます。(これを連鎖と言います)
 原子炉内に入れられている制御棒は、この余剰の中性子を吸収して、爆発的な核反応が起こらないようにしています。

・ウラン238の変身?
 では、核分裂にも関わらず、制御棒にも吸収されなかった中性子は、どこに行くのでしょうか?
 ここで、核燃料がウラン235以外は、ウラン238であることを思い出してください。(つまり、ウラン235の量が3%だったら、ウラン238は97%含まれるわけです)そう、余った中性子は、その一部はウラン238にぶつかるのです。 ぶつかった中性子は、一部はそのまま通りぬけてしまいますが、運良く中にとどまった場合、ウラン238は別の物質… プルトニウム(プルトニウム239)に変化します。

 これは、原子炉の種類や出力、規模に関係なく、ウラン使う原子炉なら必ず起こる現象です。つまり、原子炉内では、燃えカスである死の灰と同時に、多少に関わらずプルトニウムも作り出しているのです。

 初期に作られた原子炉は、この「プルトニウム」を作り出すために建設されました。

・核兵器の条件
 「でも、核兵器作るなら、ウランでも充分じゃないの?」と思う方もいるのではないでしょうか?
 確かに、その通りです。 原子炉で使われる燃料を、もっと濃縮して制御棒をつけなければ、りっぱな爆弾が出来上がります。

 しかし、ここで問題になるのは「濃縮の難しさ」です。
 新聞等では簡単に言っていますが、ウランを濃縮することは実際はとても困難なことです。ウラン235と238は、双子の兄弟の様に、物理的にも化学的にもほとんど同じです。唯一の違いは、重さの違いだけです。(片方が235gなら、もう一方は238g位だと行った方がわかりやすいかも?)科学的には、まったく同じ物質なので、蒸留したり薬品で分離する事は不可能です。

 唯一、遠心分離による濃縮でも、重さの差がわずかなので、装置を超高速で回転させる必要があり、長い時間を必要とします。(手で重さを計っても、3gの違いはわかりにくいでしょ?)このため、ウランの濃縮には大規模な装置が必要になり、広い敷地と多量の電力が必要になります。

・プルトニウムは理想の物質?
 では、プルトニウムの場合はどうでしょう?

 重さだけみると、プルトニウムはウランとほとんど変わりません。
 しかし、原子核内の陽子数とそれに伴う電子数が変化しています。つまり、ウランからプルトニウムに変わった時点で別の物質に変化したわけです。(わかり易い例えで言うと、双子の男の子の片方が、「女の子」に変わったしまうぐらい劇的な変化です)

 別の物質に変わったと言うことは、化学的性質が変化しているので、薬品で処理することが可能になり、ウランよりもはるかに簡単に分離・濃縮ができるのです。しかも、分離されたプルトニウムは、ウラン235よりもずっと不安定で、核燃料としては「燃えやすい」性質を持っています。
 つまり、使用済みの核燃料が手に入れば、ウランを濃縮するよりもずっと小規模かつ簡単に「核兵器」を簡単に作れてしまうのです。

 悲しい事実ですが、長崎に落とされた原爆は、実はこうして作られたものなのです。


・原子炉の宿命
 このような原子炉の性質ゆえに、原子炉を所有する国家は、「発電のみにか使わない」限り、核燃料の兵器への転用や製造を行っていない事を証明する必要が生じます。
 国際的には、IAEA(国際原子力委員会)とよばれる機関が有名です。 近年では、原発や核施設を所有する国家は、IAEAに加入することが義務付けられており、日本もIAEAに加入しています。

 IAEAに加入すると、核燃料を貯蔵する保管庫や原子炉の圧力容器の蓋等に封印が施され、施設内のあらゆるところに監視カメラが取り付けられます。 
 この、封印やカメラは、施設や燃料等が核兵器製造に使われていないか監視する役目があり、IAER以外の人が勝手に移動したり、取り外したりする事はできません。

 もちろん、日本の原発や核施設内にも監視カメラが設置されていて、IAEAからの定期的な立ち入り検査が行われていますが、北朝鮮ではIAEAの立ち入り拒否や、監視カメラを勝手に取り外して問題を起こしているのは記憶に新しいですね。


・と言うわけで
今日の話はここまでです。 説明が長くなってしまいましたが、昨今の原子力事情、北朝鮮の核開発問題への理解への手助けになれば幸いです。

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と、言うわけで、今日の話はここまでです。できれば、プルトニウムの毒性や、IAEAの活動の詳細なども話したかったのですが、今回のテーマと離れるため、割愛しました。

疑問・反論・その他お気づきのことがあれば、桃猫までご連絡下さい。

ではまた、

 桃猫
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以上、桃猫さんからの分かりやすいレクチャーでした。北朝鮮事情が緊迫しつつある今、こういう問題には分かる範囲ででも目を注ぎつづけたいですね。桃猫さん、情報提供、本当にありがとうございました。(Chesedh)
核問題Q&Aコーナー

Chesedh「桃猫さん、こんにちは。Chesedhです。いつも、詳細な原子力関係の情報をくださり、本当にありがとうございます。
 さて、今回は、幾つか質問がありますので、宜しくお願いできないでしょうか?」

桃猫「ええ」

Chesedh「まず、低レベルの被爆をし、白血病などの症状が現れ始めた人に対する治療は可能なのでしょうか?」

桃猫「う〜ん、なかなか難しい質問ですね。(汗)それに関してですが、外部からの放射線、つまり外部被曝に関しては、『被曝が短時間のものに限り』自力で回復するケースもあるようです。
 被曝後の治療に関してですが、残念ながら専門外に属する事なので、自信を持ってお答えする事ができません、スミマセン(泣)(分かり次第、お話しできる事もあると思うので、その時にでもまた…)」

Chesedh「次に、以前見たテレビでイラクが保有していた濃縮ウラン『イエローケーキ』を、付近の住民が略奪して、中身を捨てて、ドラム缶を飲料水などに使用してしまった、というニュースが入りました。彼らの健康は、正直、もうだめなのでしょうか?」

桃猫「これに関してですが、残念ながら結論を言えば、今後何らかの形で症状があらわれると思います。(症状が現れるのは、おそらく数カ月〜数年後…)理由は、ドラム缶の使われ方よりも「中身はどこに行ったか?」と言う事です。「イエローケーキ」と言う名前ですが、その正体はウラン化合物(おそらく硝酸ウランでは?)の粉末か、それを固めた物です。もちろん、もろくてくずれ易い物ですから、素手で開けようものなら、舞い上がる粉末による被曝は避けられません
 もし、吹きさらしの野外で、そのまま地面にばら撒こうものなら… 劣化ウラン弾を使用した以上の惨事は免れないでしょう。」

Chesedh「なるほど〜」

桃猫「というわけで、自分の知る範囲で、できるだけ説明しましたが、納得いただけたでしょうか?
 被爆後の治療に関しては、お医者さんに聞くか、医療関係の雑誌を調べた方が早いような気がします。(こちらでも、調べてみますが…)」

Chesedh「いえ、とても助かります。ありがとうございました」

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 という訳で、’eL-theOでは、現在今回の戦争問題についてのQ&Aを行っています。宗教問題についてはChesedhが、核関係に付いては桃猫さんが分かる範囲でお答えさせていただきます。なにか質問がありましたら、是非、Chesedhまでメールをお寄せ下さい。
Q&A補足(桃猫さん)

先日の質問等について、いくつか追加事項を…

(1)「被爆が短時間のものに限り、自力で回復」
 これは、同じ臓器や組織でも、状態の異なる細胞があるからです。

 以前お話した通り、細胞分裂が多い組織ほど、放射線の影響を受けやすい(詳しくは「劣化ウラン弾と白血病」の項を参照)のですが、実はそのような臓器であっても、細胞分裂をまったく行わない、いわゆる「眠った」状態の細胞が存在します。

 このような「眠った」細胞は、遺伝子の複製が全く行われないため、放射線に対する抵抗力が強く、他の細胞が死滅しても生き残る場合が多いと言われます。 しかも、他の細胞が破壊された場合には、自ら目覚めて増殖を行い、破壊された臓器の修復と機能を回復します。
 つまり、生き物はあらゆる事態を考えて、「細胞のスペア」を持っている訳です。

 ただし、「細胞のスペア」の量には、個人差があるので、短時間でも大丈夫、と放射線を平気で浴びるのは禁物です。
 また、回復中はスペアが全部使われて、予備が全く無い状態なので、回復中の被爆は絶対に避けなければならない事も付け加えておきます。

(2)イエローケーキについて
 調べてみたら、「ウラン鉱石から、抽出・精製しただけのもの」の総称のようです。
 ウラン鉱石からの、精製方法は一通りではないので、成分としては「硝酸ウラニル」以外にも、何種類か有ります。
 成分はともかく、見た目はどれも「黄色い粉末」のため、「イエローケーキ」という名称で呼ばれるようになったようです。

 通常、この「イエローケーキ」を扱う場合、防塵マスク(見た目はガスマスクと同じ)に防護服、それにゴム手袋を装備して行います。(解りやすい例で言えば、伝染病患者搬送時(SARSとか)の格好です。)さらに、環境への汚染を防ぐために、気密が守られた室内で作業を行います。

 このような、非常にヤバイ物質なのですが、その容器を飲み水の入れ物として使ってるという事から、(略奪者には)そのような知識がまったく無いことは明白です。(国家としては、そのような知識を与える責任があると思うのですが…)


 という訳で、今回はここまで。
 次回をお楽しみ〜(笑)

 桃猫
『電気不足は誰のせい? 〜原発の悲鳴〜』

さて、今回のお話は、もうじきやって来る、今年の夏の電力危機についてです。何気なく電気を使ってる方、そしてやたら環境保護を訴える方々… よく読んでおいて下さい。
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『電気不足は誰のせい? 〜原発の悲鳴〜』

電気が足りなくなる?
 「今年の夏は、停電が起きるかもしれない」
 こういう話を、今年の春ごろから新聞等で聞いている方は多いかと思います。
 確かに、今年に入ってから、原初のトラブルと不祥事の発覚等で、停止に追い込まれた原子炉が多く、電力消費が多くなる夏場の電力不足が問題になっています。

半数は昼寝中?
 実は、日本国内にある原子炉のうち、使用可能な物の半数以上は、停止した状態にあります。
 これらの多くは、修理や点検、そして燃料交換が行われている訳ですが、中にはもちろん「すぐにでも起動できる」原子炉もあります。

 「じゃあ、その原子炉をすぐ動かせば、いいんじゃない?」
 「点検中の原子炉も、早めに点検を終えれば、動かせるじゃないの?」
 上記の話を聞いて、こう思う方も、たくさんいたと思います。

 もちろん、技術的には、「今からすぐにでも動かせる原子炉は」あります。
 ですが、原発には、火力発電所のように、簡単に動かせない大きな理由があるのです。


半年は使用禁止!
 そのまえに、「稼働率」の説明をしておきます。
 稼働率というのは、決められた日数の中で、工場や発電所などの施設がどれだけ使われたか、つまりどれだけ動いていたかを分かりやすく表したものです。
 例えば、ある工場が週休二日制で、一年間稼働したと場合、稼働していた日数は260日になるので、稼働率は、

 260÷365×100=71.2(%)

となり、この工場は約70%稼働していた、ということがわかります。
 原子炉の場合、この稼働率は最大でも50%を越えるものはありません。 たとえ新品でも、整備が行き届いているものであっても、です。

 実は、原子炉の場合、発電用・研究用の種類を問わず、整備等の理由で「半年間の停止」が法律で義務付けられています。
 しかもです、停止期間中の原子炉は、短期間で修理・点検が終了しても、停止開始から半年が過ぎないと、『勝手に動かしたり発電する事が許されていない』のです。
 つまり、原発の場合1基しか原子炉が無いと、半年間は都市などへの電力の供給が出来ず、街は半年間も「停電」した状態になる訳です。

 もちろん、このような電力の供給を中断させないために、発電所では最低でも2基の原子炉を備えているのが一般的です。(ニュースでも、『○○発電所1号機、2号機』って報道してるのはその為です。)さらに、万が一のトラブルを考えると、稼働している原子炉は2つは必要、つまり合計で4基以上の原子炉が必要になるのです。

 今回の「電力不足」は、メンテナンス中の原子炉が、トラブル等で再稼働が延期になったのに加え、現在稼働の原子炉も、この「半年間の停止」が近付いている為に、より深刻な問題になった訳です。

結局は我々の問題?!
 ところで、ここまで読んだ方で、こう思った方も多いかと思います

 「こういう事態になったのは、原発を作らせた政府がいけないんだろ。おれは元々原発なんて反対だし、電気だったら『火力』でも十分だろ?」

 確かにその通りです。事実です。耳が痛いです。(泣)ですが、よく考えてください。

 火力・水力・原子力の如何に関わらず、そうして得られた電力を最も使ってるのは誰であるか…
 電気が無駄遣いされる分、余計に発電しなければ何故か?

 さらに、京都議定書に日本が加入していること、最近あった産油国での戦争もあわせて、「原子力を火力に代替しても問題は解決しない」事を、ここに明記して置きます。

と言う訳で、今回はこの辺にて…

補足1)京都議定書
 一言で言うと「先進国は、地球温暖化防止に積極的に働くべき」ということを文書にしたもの。
 具体的には、地球温暖化ガスの排出の抑制や砂漠の緑化など。
 ここで言う「地球温暖化ガス」というのは、石油や天然ガスを燃やしたときに出る炭酸ガス(二酸化炭素)が主である。
 つまり、火力発電所の増設は、地球温暖化防止に貢献しない事になるのである。

 なお、某国の石油を狙ってる、某大国がこの議定書に署名しなかったのは有名な話であることも記しておく。

補足2)最近あった産油国での戦争
 言うまでも無い最近の話題なので、詳細は省きます。
 今回は、短期間で終わったので、影響は少なかったようですが。

 最悪の場合、産油国からの石油の供給が無くなる訳で、石油の輸入が止まった場合、備蓄があるといっても、仮に全ての発電所が火力になったら、すくなくとも3割は減り方が早くなる訳で…
(以下略 )
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はぁ〜 疲れました

今回は、ちと感情的(?)になってしまいました。(笑)みなさんも、今年の夏だけでなく、これからもず〜〜っと節電に心がけてください。(笑)


今回は、おまけにもうひとつ…
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『原子炉のしくみ(1)』

 BBSでも少しだけ説明しましたが、原子炉は、原子炉本体とそれを収納する格納容器のほとんどが、地下にあります。
 これは、地中の方が放射線をしゃへい(さえぎる力)し易いのも理由のひとつですが、もっと大事な訳があります。

 ここで、ひとつ実験をしましょう。

 用意するのは、たくさんの食塩とお皿にお茶碗のような底の深い器、そしてタマゴ、これだけです。
 食塩は地面や砂、タマゴは「原子炉の入った格納容器」の代わりだと思って下さい。

 まず、お皿に塩を薄く敷き、その上にタマゴを立てて下さい。立ちましたね?
 この状態で、お皿を軽く揺すって下さい。 タマゴは簡単に転びましたね?
 次に、お茶碗の底に塩を敷いて、同じようにタマゴを立てた後、タマゴが半分以上隠れるよう、塩を入れて下さい。
 今度も、同じようにお茶碗を揺すって見て下さい。どうです、今度は転ばなかったでしょ?

 実は原子炉も、同じ理由で地下に固定されているのです。

 原子炉と、それを納める格納容器は、分厚い金属が、何重にも使われています。それゆえに、通常の建物では支える事は困難です。ましてや、地震等が頻発する日本では、建物を突き破って転がってしまうでしょう。そこで、地中に埋める形で建設される訳です。

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 というわけで、話がまた長くなりましたが、楽しんで頂けたでしょうか?
 今回は、劣化ウラン弾とは何の関係もありませんでしたが、我々の生活と密接な問題だったので、テーマとさせて頂きました。
 
 なお、質問・意見等がありましたら、こちらまで連絡下さい。


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